第三十番 觀音禪寺

仮名草子作者としても知られる鈴木正三を開基とする、かつての桃源郷の面影を偲ぶ曹洞宗の寺。

お寺の掲示板

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第三十番札所

法語=残心

◆大阪府東大阪市稲田本町三ー二七ー一二  TEL06(6745)7778

秘仏聖観音

圓通山救世院觀音禪寺は、妙心寺二世授翁宗弼禅師と大内義弘との協力で建立された大伽藍でしたが、兵火に遭い焼失。のちに村人が大松の根元より掘り出したという聖観音を本尊とし、慶安元年(一六四八)三木城主鈴木三郎九郎重成を施主に再興。実兄石平道人鈴木正三を開基とします。

安産に霊験著しく、美濃岩村城主丹羽式部少輔氏定の妻が当観音に祈願し男児を出産。報恩のため唐金の涅槃像・涅槃図と梵鐘(府文化財指定)などを寄進、境内に桃の木千数百本を植樹しました。この桃の木が有名な稲田桃の起こりと伝えられています。尚この本尊聖観音は秘仏のため、ふだん開扉されることはありません。

観世音菩薩

現存最古の印刷

觀音禪寺所蔵品の中で異彩を放つものの一つに法隆寺の百万塔があります。恵美押勝の反乱を鎮めた孝謙女帝の発願で百万基の小塔がつくられ、塔内に陀羅尼経が納められたものです。当時の十大寺に十万基づつ納められましたが、その多数を今日まで伝えたのは法隆寺だけでした。

この三重塔はその一つで、鈴木正三を通じて当寺の所蔵となったものですが、表面は胡粉地で仕上げられ、内部に納めた陀羅尼経も年代の明らかな現存最古の印刷物です。思いのほか保存状態が良いのに驚かされます。