第二十六番 興法寺

「辻子越え」と呼ばれる古道を 登ったところにある 真言宗の古刹。 平安期の本尊を 祀る閑かな山寺です。

第二十六番札所

法語=実修実証

◆大阪府東大阪市上石切町二ー一五三三 072(981)2004

辻子越え

石切駅から興法寺への出発点にあるのが「爪切地蔵」の名で知られる地蔵尊。巨大な生駒 石に弘法大師が一夜のうちに爪で刻んだ(?)と伝えられること からそう呼ばれています。

川に沿って急坂を上って行く途中に、 辻子谷水車復活計画の看板が あります。もともとこのあたり は、水車動力を各種和漢薬の細 末加工にフル活用していたのが、 電力普及とともに衰退していっ たということです。

さらに急な山道を上り詰めたところが古刹興法寺で、この山道は、古く からある生駒越えの一つ、 辻子 (谷)越えと呼ばれるものです。 電車が奈良に開通するまでは「西の聖天さん」と呼ぶ興法寺を経て「東の聖天さん」生駒宝山寺 に通じる信仰の道として大いに利用された道だったのです。

十一面千手観世音菩薩
十一面千手観世音菩薩

西の聖天さん

役行者の開基で、弘法大師が諸堂を建立されたと伝えられますが、中世、兵火に見舞われ焼失。良弁僧正墓所という十三重石塔が残っています。本尊は栴檀の一木彫の十一面千手観世音菩薩。平安後期の優れた彫刻として、大阪府の有形文化財に指定されています。

野鳥ささやく閑けさと
四季のいろどり

春は時雨桜、うこん桜、スズラン、秋は門前の紅葉がとりわけ美しく、ホトトギス、オオルリ、ミミズクなどの珍しい野鳥が棲息する山寺ならではの自然環境。霊場と呼ぶにさわしい世界です。