法語=波羅密多
◆大阪府堺市美原区今井一九二 TEL072(361)4419
法雲寺は、黄檗三傑の一人、慧極道明禅師によって寛文十二年(一六七二)に開山された、黄檗宗中本山格の寺院です。山門・天王殿・大殿(本堂)・開山堂・耀先殿など、黄檗様式の建物群としてのまとまりと、建築当初の伽藍構成を今に残しています。
寺伝によれば、法雲寺の前身は弘法大師の開基で、神福山長安寺と称する真言宗の大寺院でしたが、元和年間(一六一五?二四年)に西除川の氾濫で流失しました。
その後変転をかさね、寛文十一年(一六七一)、曹洞宗の僧宗月が霊夢によって地中より観音像を掘り出して草庵に安置し、翌年宗月は慧極禅師に来住を乞い、寺を委ねたということです。
山門を入り進むと、まず天王殿があります。これは黄檗独特のお堂で、正面に布袋尊が安置されています。その像の説明には「弥勒菩薩」と書かれています。これは、布袋さまというのは弥勒菩薩の化身と考えられていて、それゆえ弥勒菩薩と呼ぶ、黄檗宗だけのかたちだということです。
最初に布袋尊にお参りすることで、その大きなお腹に人間の煩悩や欲望をとり払っていただきます。帰りにもう一度参ると、手に持った布袋から徳を与えてくださるという言い伝えがあり、ここに安置されているのだとか。
また四方に四天王が安置され、侵入者から寺を守っていることから天王殿の名があるのです。
天王殿を過ぎてさらに進むと大殿(本堂)があります。本尊は釈迦如来・薬師如来・阿弥陀如来の三尊ですが、背後に各々小さな尊像を配し、その数は合わせると三千三百三十三体に!
広大無辺な三千世界をあらわす圧倒的な仏像は全て木彫に金箔を施されたもの。貞享元年(一六八四)大阪の富豪今津浄水居士により寄進されました。