鎌倉時代の
法語=念念勿生疑
◆大阪府東大阪市森河内西一ー三四ー二六 TEL06(6781)4272
JR学研都市線、放出駅から南へ七百メートル。圓通寺は森河内北端の、長瀬川沿いにあり、壽量山と号する融通念佛宗の寺院です。平野大念佛寺の末寺で、天得如来(阿弥陀如来)を本尊としています。本堂の他に地蔵堂・観音堂があり、観音堂に安置されている十一面観世音菩薩像は、聖徳太子の作と伝えられています。
また当寺には鎌倉時代の絹本着色阿弥陀三尊来迎図が残されています。 来迎図にはさまざまなものがありますが、圓通寺の来迎図は正面来迎図で、静的な構図の中に厳粛な気品が漂う優れた作品です。
金彩に切金を併用しての表現、切金技法が駆使された各種紋様は三十種類にも及び、製作技術の高さを示しています。切金というのは、金箔を細く切ったものを貼り付けて種々の紋様を施す技法で、金泥の技法が一般化するまではこれが主流でした。
昭和六十年東大阪市有形文化財に指定。
年に一度、五月十五日の開山会では、ご本尊開帳のとき天得如来の「はなくそ供養」として、阿弥陀三尊来迎図が他の所蔵美術品とともに本堂に公開展示されます。繊細にして緻密な表現技術を間近に拝観でき、その日の当寺はさながら仏教美術ギャラリーの様相を呈しています。
開山会のお説教の供養として授与されるのが、天得如来の「はなくそ(花供粗)」と呼ばれ、親しまれているものです。なお天得如来は融通念佛宗の本尊で、正式には「一佛中立十聖囲繞十界一念総相別相十身具足一大法身天得如来」といいます。
現在儀式・法要の際お出ましになるのは、昭和五十三年に描かれた天得如来で、こちらも後世に残る優れた作品だそうです。開山会は午後二時から四時頃まで。